トキオブログ

思うことをうまく文章にしたいです

怖いものが沢山あった

 昔は怖いものが沢山あった。ただその「怖い」は大人になってからの「怖い」とはちょっと質が違って、何年も何年も自分を暗い気分で縛り付ける類のものだった。トラウマみたいなやつだ。それについていくつか思い出してみた。

・父のゴルフバッグ
真っ黒なゴルフバッグでいつも部屋の隅の見えるところに置いてあった。幼稚園や小学校低学年のときはゴルフバッグの方が大きかったし、顔のない人のような形がとても怖かった。このゴルフバッグに捕まってお尻を叩かれる夢はよく見た。

・虫の音
エコエコアザラクという漫画がある。それ自体トラウマなんだけど、それを読んでる時にちょうど外で秋の虫が鳴いていて、それ以来漫画とセットで虫の音が怖くなった。両親が虫の音と川の音が収録されたCDを買ってきて、寝る前にかけてたときなんて地獄だった。布団の中でいつも泣いてた。

・階段の後ろ
小学生の頃、家に帰るために社宅の階段を上がろうとしたときに、何となくん?と思って振り向いたことがあった。そしたらそこに帽子を被ったおじさんがいた。知らない人が、明らかに近すぎる距離に直立してた。その瞬間全身の毛が逆立って、階段を猛ダッシュで駆け上がった。幸い鍵が開いていたので家にはすぐ入れた。家にいたお母さんに報告したら、「社宅に住んでる誰かのお父さんじゃない?」と笑って受け流された。それ以来うしろを何度も振り返る癖がついた。

  ここにあげた3つは小学生のときから中学生の中頃までひたすら付きまとい、思い出すたびに自分を縮こまらせ、特に夜を憂鬱にしてきた。自分の裏の歴史とでも言えるかもしれない。今ではまったく怖くないのが不思議だけど、それでもあの苦しい気分はハッキリと覚えている。自分がただ異常な怖がりだったというだけの話かもしれないけれど、それにしても子ども時代にあんなストレスを感じる必要は無かったんじゃないかと思うんです。