トキオブログ

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仲間って最高だね『ストレイト・アウタ・コンプトン』


12/19(土)公開『ストレイト・アウタ・コンプトン 』予告編

  大晦日、2015年の映画納めとして観てきました。「ギャングスタラップの創始者と言われる伝説のヒップホップグループN.W.A.の伝記映画」という、明らかにファンやヒップホップに興味がある人にしかウケなさそうなやつ。でも実際にはそういう音楽に関心がない人でも楽しめるアツい青春ムービーでした。
  まず何よりも、N.W.A.のメンバー、特にイージーEとアイスキューブとドレーのカリスマ性と天才っぷり!冒頭にドレーが叔母さんの家でスクラッチをするシーンには即グッと掴まれたし、アイスキューブの最初のラップも痺れるくらい格好いい。彼らが圧倒的な人気を得ていくというストーリーには相当説得力があった。そんな感じで最初から格好いい彼らだけど、でもその格好良さは、「それクールじゃん!」と率直に認めてくれる仲間が周りにいることで、説得力が増すというか、リアルになっていくというか、どんどん輝きを増していくように感じた。仲間に褒められること、認められること、受け入れられることというのはホントに気持ちがいいことだなー。初めてイージーがラップするところなんて、下手くそなんだけど、ドレーに「いいじゃんいいじゃん」とか言われて、上手くのせられるうちに、感覚を段々つかみ出すところなんてすごく良い。イージーEは普通にワルくてコワいヤクの売人なんだけど、ところどころで彼のキュートな魅力が伝わってくる。これはカリスマになるわなーという感じ。警察が見守る中でファックザポリスを演るところはまさ彼らの青春のピーク!このライブシーンもめちゃくちゃ格好良かった。

  だけどこののち、契約の問題をめぐってグループは分解、お互いをディスをしあうような険悪な関係になる。すったもんだを経て、あの時は良かったなあ・・・的な気持ちになるイージー。そんなイージーがついにドレーに電話をかけるシーンがある。「再結成、どうよ?」とちょっと緊張しながら誘うところとか、もうお前らどんだけだよ!こっちが照れるよ!っていうくらいの青春の甘酸っぱさがあった。

   だけどここにきて、なんとイージーのエイズ感染が発覚する。病気の進行で昏睡状態になっているイージーに向かって、ドレーが「お前の最初のラップはヘッタクソだったよなー」と話しかける。涙必至のシーンでしょう。そのあとの「あいつと話したいよ」というアイスキューブの飾りのない言葉もグッときた。

 イージーが死に、彼らの青春時代は本当に終わってしまった。ドレーはシュグ・ナイトと組んで商業的な成功を収めるけど、ビジネスのためなら手段を問わないシュグのやり方に反発して、自分の新しい道を歩みだすところで映画が終わる。この映画にはシュグや、イージーのマネージャーだったジェリーをはじめとして、彼らの音楽が金になるとふんだ色んな音楽業界人が登場する。ビジネスとしての価値を認めてもらうのも大事だけど、音楽から得られるものは金だけじゃないし、それだけを追い求めてしまうと失うものも多い。ただ音楽を通して自分そのものを認めてくれた仲間との友情こそ永遠なのだという、そういうアツい思いを伝えてくれる映画でした。