トキオブログ

思うことをうまく文章にしたいです

古屋誠一写真展「第一章 妻 1978.2-1981.11」に行ってきた

 母に赤ちゃんを預け、会期ギリギリに見に行ってきた。中野坂上駅から東京工芸大学まで七分。中野長者橋まで日陰がなく、とても暑かった。

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 見ている間は展示室に自分一人だったので、じっくり見ることができた。展示室の手前に大きなカラー写真が一枚飾ってある。おおーさっそくこれか、と思う。伊豆で撮った写真だ。港の海をバックにして、カメラを首から下げ、長靴を履いたクリスティーネがはにかんでいる。これは本当に素敵な写真で、大きく見られてうれしかった。カラーはこの一枚だけだった。

 中では約五十枚の写真が時計回りに年代順で展示されていた。一人の人間をこんなに多くの角度で撮れることに驚く。

 有名なものを除いて、二枚、印象に残った写真があった。彼の写真の中で傑出したものではないと思うけど、個人的にピンとくるものがあった。

 一枚目は開かれた玄関?のドアに立つクリスティーネ。髪を下ろし、学生のような姿に見える。微笑みがとてもやわらかい。近い距離で撮られており、私は出かけるんだから、と夫に言っているような、幸せそうな表情とその素朴さが印象に残った。

 もう一枚は旅行中だろうか、道路脇の標識の横にクリスティーネが立っている写真だ。彼女は妊娠していて、ゆったりしたニットを着ている。そのうしろには黒い森と空が広がっている。ふくよかになってきた女性の身体と、道路と標識と森と空の冷たい無機質な感じが良かった。

 改めて彼の写真集を見てみたいなーと思った。そして写真展の第二章も楽しみです。