トキオブログ

思うことをうまく文章にしたいです

山本文緒『紙婚式』

 

 

 夫婦にまつわる短編小説。単行本で読んだ。全8話が収録されてるけど、どれひとつとして他に劣るものがなかった。ぜんぶ面白い。

 夫婦は完全な他人ではないからこそ、ふとした出来事をきっかけに感じた距離は、他人よりも大きくなってしまうみたいだ。その違和感をなかったことにして生活をつづけること、違和感を相手にぶつけること、夫婦をやめること、どれも正解かもしれないし不正解かもしれない。

 小説に子ども自体は多く出てこない。ただ子どもを持つか持たないかは、どうしても夫婦関係においてメインテーマにならざるを得ないんだなと思った。どういう経緯でどちらの結果になっても、それは夫婦の「選択」として捉えられる。子どもを生むということは、夫婦だけの関係から目を逸らすひとつの方法なのかな...とボンヤリ思ったりした。

 

「あなたは本当に子供がほしいの?」

ちらりと夫が振り向く。

「いらないって言ってくれたら、私、生んでもいい」

「どうしてそう、訳の分からないことばかり言うんだ?」

 

 「子宝」を読んでいて、思い出したことがあった。結婚したあとに、夫に軽い調子で「子どもできないかもしれないよ」と言ったことがある。軽く言ったけど、内心はビビっていた。相手が子どものいない人生を送ることになる、その原因がもし自分にあったら、どうしたらいいんだろう?という答えのない気持ちだった。

 夫はサラッと「それならずっと2人でいる」と返してきたので、当時はすごく肩の荷が下りた気がした。夫を試すような言い方をして申し訳なかった。でもこの時にこの問いかけをぶつけて良かったなと、今は思う。

 

家庭内感染でコロナ陽性になるまで

 月曜日、妊娠9ヶ月になった。仕事中に夫からのLINEが来た。「だるいから帰ってきた」「喉に違和感がある」この2年間、夫が具合が悪かったのは二日酔いのときだけで、仕事も休んだことがない。もうこの時点で「あ、コロナだな」と確信した。

 自分も午後すぐ退社して、除菌セット(アルコール、キッチンペーパー)やのど飴、使い捨ての容器類、ポカリ、ゼリーや冷凍食品を買い込んで家に戻った。あとから思えば、意外と必要なものを冷静に買えたと思う。この方のまとめを読んでいたのが役に立った。

 夫には去年PCR検査をうけた近くの病院に電話するよう言った。しかし病院は忙しすぎて、発熱か味覚障害などの症状がはっきりでている人しか受け付けられないとのこと。何だとー。(あとで調べたら、オミクロンで嗅覚障害・味覚障害が出てる割合は0.8%らしい)そして他の病院も似たような感じ。去年より受けにくくなってるじゃないかと思った。

 火曜日Amazonで買った抗原検査キットだと陰性。仕方ないので、病院ではないところへPCR検査を受けに行く。この検査はスムーズにできて良かった。昨日から夫は完全隔離にして、水回りを使ったらその都度アルコール消毒に行く。お腹が出てるので、床を拭くのがやや大変。水回りの換気扇はつけっぱなしにして、キッチンの小窓は常時開けておく。

 水曜日の午後、ちょうど検査から24時間経って、ネットで結果が確認できた。私、陰性。夫、陽性疑い。疑いってビミョーな!でもこのお陰で、次の日に病院でPCR検査と問診を受けられることになった。結果を待ってたら1日が終わった。

 木曜日、夫の会社で12人感染確認されたとのこと。普通にクラスターが発生してた。朝は喉が痛いみたい。午後になって病院にPCR検査を受けに行っていた。自分は疲れからか、少しグッタリ。でもとりあえず元気だから、明日症状が出なかったら乗り切れたと思いたい。夫とLINEで通話しながらシェアプレイをする。そのあとビデオ通話で軽くお喋り。付き合ってた頃を思い出すなー。

 金曜日、親が支援物資を色々持ってきてくれる。(大量のおでん、ペットボトルのお茶、果物、海苔巻きなど)特におでんは二日間夜ごはんにして、三日目も朝ごはんに出来たので有難かった。Amazonから「謎の独立国家ソマリランド」が届いたのでひたすら読む。夫はこの日から回復してきた。

 

 

 土曜日、朝起きたら喉に違和感がある...。痛くはないけど、ガサガサしている。うわーと思ったけど、痛くないから疲れかな?とも思った。これが「自分だけは違う」という正常化バイアスだったと明日気づくことになる。その他の体調面での変化はなかった。紅茶で喉を潤しながら、本をひたすら読む。

 夫のPCR検査の連絡が来ないので言ったら、「週明けかな〜」と何とものんきな返事でえ〜...となった。自分は仕事を休んでるんですが...。電話してもらったら、検査結果は出てるけど伝えられる医師がいないということで、やっぱり週明けになった。

 日曜日、朝起きたら声が枯れている。喉は痛くはないけど、嫌な予感がした。午後になって段々と頭痛がしてくる。この時点でもスマホの使い過ぎからくる眼精疲労か、二酸化炭素濃度が高かったかしら...とかうっすら考えてしまう。横になると頭が痛くなるパターンなのが辛い。あとから気づいたけど、鼻の奥で炎症を起こしていたから頭を下げると痛かったっぽい。夜になって頭痛が酷くなる。目の奥も痛い。体温が37.4度まで上がる。頭に氷を当ててもあまり意味がなく、3時間くらいしか眠れなかった。ここが一番辛かった。

 月曜日、朝6時くらいになって、痛む範囲が鼻の奥だけになっていることに気づいた。その痛みも段々と落ち着いてきて、代わりに鼻水が出てくる。本当は明日から会社に行こうと思っていたけど、夫の陽性診断が出たこと、昨日の頭痛がふつうじゃなかったことから、ちゃんと検査を受けようと思った。

 病院に電話して、とりあえず結果がすぐ出る抗原検査を受けて、陰性だったらPCR検査も受けましょうということになった。抗原検査は鼻に突っ込んでグリグリするタイプの検査。まあ痛いけど、想像してたより痛くなかった。鼻に症状が出てたから、むしろ鼻でやってくれて有難いなと思った。ただ検査結果が出るまでがとてつもなく長く、2時間ひたすらパイプ椅子で待った。ここも中々つらいパート。自分の結果が陽性で、医者しか診断結果を伝えられないという理由もあったと思う。4人位で一斉に受けたんだけど、陰性っぽい人は早々に別室に移されてた。そこで陽性の診断と10日間の隔離について説明されて、家に帰って実家や仕事先に連絡して今に至る。隔離からそのまま産休に突入することになってしまった。

 

今回思ったこととしては、

・家庭内感染の予防はかなり厳しい

→言われてるような対策は全部やったけど、それでも感染してしまった。本当に感染力が強いんだなと感じた。

・妊婦は自己判断で薬を飲んではダメ

→日曜日の夜中、辛くなってきたので余ってたカロナールを飲もうと思った。飲む前に発熱相談センターに連絡をしたら「飲んでも大丈夫ですが、飲まないに越したことはないので、38度を超えたらにするのはどうですか?」と言われ、確かに...今はもうちょっと頑張れるかも...と冷静になれた。当たり前の事だけど、確認してからの方が安心だよねー。

・いまだに検査を受けるまでが大変

→病院も逼迫していて、また症状が微妙(発熱してないなど)だと、すぐに受けられなかったりする。特に夫の確定診断が出るまでは、むだな時間がかかった。

 

 今もだるさはあるものの、大分体調が落ち着いてきたので、明日以降もこの感じでいきたい。何よりコロナにかかってしまったこと、赤ちゃんに本当に申し訳ない。何事もありませんように。

産休前の一踏ん張り

・あと半月で産休だー!といっても動き回れないので、家事や読書やゲームで一ヶ月間は過ぎていくことでしょう。花粉もあるし。薬が飲めないから本当に死んでしまうかもしれない...怖い...

 

・夫に育児用品のリストを渡して、アカチャンホンポで買ってきてもらった。ノリノリで行ってきてくれた夫を見て、ネットでも買えるけど、あえてお願いして良かったなと思う。自分で買ったものなら使い方も分かるしね。

 

ポンペイ展に行きたいと言ったら、「じゃあ予習しよう!」と、NHKの番組を録画してくれた。夫のこういうところ、マメで優しい。夫はポンペイ自体を知らなかった(!)けど、二人で楽しめるように行動してくれた。そこが一番うれしい。

 

・妊婦しんどい期がきている。最近赤子が固定されて、かわいいピクピクした胎動から、グググ....というピンポイントで圧迫してくる胎動に変わった。地味〜に痛い。他にも色んな不調があって、妊娠という体験、一回で良いのでは、と考えるようになってる。まだ一人目を産んでもいないけど。

 自分は4人きょうだいで、仲が良い。夫も2人きょうだいで、仲が良い。だからきょうだいがいて当たり前、きょうだいって良いよねっていう共通した価値観がある。でもさー、これを人生でもう一回ってけっこうしんどいよー。しかも次はさらに歳をとってて、小さい子供が一人いる訳でしょう。

 大きな目標には挑戦せず、そこそこのところでまあまあの成績を収めるという方針の人間なので、「ぼくが考えるやれそうな範囲内(子どもを一人育てる)」からとびだすのはかなり抵抗がある。今のところは。