夫婦にまつわる短編小説。単行本で読んだ。全8話が収録されてるけど、どれひとつとして他に劣るものがなかった。ぜんぶ面白い。
夫婦は完全な他人ではないからこそ、ふとした出来事をきっかけに感じた距離は、他人よりも大きくなってしまうみたいだ。その違和感をなかったことにして生活をつづけること、違和感を相手にぶつけること、夫婦をやめること、どれも正解かもしれないし不正解かもしれない。
小説に子ども自体は多く出てこない。ただ子どもを持つか持たないかは、どうしても夫婦関係においてメインテーマにならざるを得ないんだなと思った。どういう経緯でどちらの結果になっても、それは夫婦の「選択」として捉えられる。子どもを生むということは、夫婦だけの関係から目を逸らすひとつの方法なのかな...とボンヤリ思ったりした。
「あなたは本当に子供がほしいの?」
ちらりと夫が振り向く。
「いらないって言ってくれたら、私、生んでもいい」
「どうしてそう、訳の分からないことばかり言うんだ?」
「子宝」を読んでいて、思い出したことがあった。結婚したあとに、夫に軽い調子で「子どもできないかもしれないよ」と言ったことがある。軽く言ったけど、内心はビビっていた。相手が子どものいない人生を送ることになる、その原因がもし自分にあったら、どうしたらいいんだろう?という答えのない気持ちだった。
夫はサラッと「それならずっと2人でいる」と返してきたので、当時はすごく肩の荷が下りた気がした。夫を試すような言い方をして申し訳なかった。でもこの時にこの問いかけをぶつけて良かったなと、今は思う。